子どもの足育のために必要な運動量と注意点

運動量

昔の子どもたちに比べ、現代の子どもの歩行量はとても少なく、30年前の子どもと比べると、歩行量が4分の1以下になっているという調査結果もあります。

足育先生は、子どもたちの歩行を促し、歩行量を増やそうと、講演会などで常に発信していますが、日本全体の課題とも言える“子どもの歩行量が減っている”この状況で、国からの発信はまだ足りていないな……と常々感じています。

足育・歩くこと・歩行量など、最近では重要視され始め、各都道府県で、歩行量を増やすための活動をしているところも、もちろんあります。

しかし、まだ広く認知されているとは言えないでしょう。

実際どれくらいの運動量、歩行量が理想的か……と聞かれてすぐに答えられる親御さんは少ないと思います。

ですので今回は、子どもに必要な運動量と、運動をさせる際に注意したい点について詳しくお伝えしたいと思います。

理想的な歩行量・運動時間の目安

外遊び
平均的は歩行量の目安は……

子どもの歩行量の目安として、『年齢×1km』と言われています。

なので、例えば3歳でしたら3km。

6歳でしたら6km。

ということですね。

数字にするとスゴイ距離数に感じるかもしれませんが、3kmの歩行量は、公園に行って、走り回って遊んでいると実はあっという間に達成してしまう歩行量だったりします。

また、理想的な運動時間はというと、文部科学省の幼児期運動指針ガイドブックにおいて、様々な遊び・運動を中心とした「毎日60分以上体を動かすこと」が推奨されています。

参考:文部科学省 幼児期運動指針ガイドブック

3時間以上外遊びをする子どもの運動・体力評価はすごいものだった!?

さらに贅沢を言うと、3時間以上外遊びをした場合、運動・体力評価はもっと良いものになります。

『幼児の運動能力調査:体力総合評価』の表をみると、外遊びの時間が3時間以上ある子どもの場合、高評価の判定が81.1%と最も多く示されています。

運動能力調査
文部科学省 幼児期運動指針ガイドブック参照

骨の成長には、カルシウムやビタミンDなどの栄養素だけでなく、適度な運動が必要不可欠です。

そして足の良い成長には、足に合った靴を履き、外遊びを含め、たくさん歩く事が大切なのです。

『外遊びを3時間』と聞くと、とても大変そうに思いますが、幼稚園や保育園で過ごす時間も含め3時間ですので、親御さんとの外遊びの時間は30分〜1時間程で十分でしょう。

「毎日仕事も家事もあって、外遊びに付き合うのは大変」

「下の子のお世話もあるのに……」

といった場合でも、買い物をするときに一緒に歩く、園に行く時に歩いて行く。
車で行く場合でも、ちょっと手前で駐めて行きに15分、帰りに15分ずつ散歩をして帰る。

このようにやりようはいくらでもあります。

子どもにとって体を動かし、元気に遊ぶことは身体的・精神的にも成長させ、健康維持にもつながりますし、その時間は生涯にわたって必要とされる体力や運動習慣をつける大切な時間。

もちろん、その時間がお父さんお母さん、そしてお子さんの“負担”とならないように、遊び・コミュニケーションの一環として、自然と生活に取り入れてもらいたいと願っています。

子どもに運動をさせる際に注意したいこと

親子
運動の場はコミュニケーションの場であったりもします

その1 合う靴を履かせてあげること

毎日3時間以上、足に合わない靴で運動することは子どもにとって、とても辛いこと。
足の痛みを我慢してたくさん走る事なんて、大人でもできませんよね?

身体的な側面だけでなく、精神面を含めた成長・発達に良い影響をもたらす毎日の運動を、足に合う良い靴で続けることにより、良い足づくりができ、その結果、運動能力がアップし、子どもの自信へつながるのです。

これは、運動させるさせないに関わらず、足育の基本中の基本です。

その2 引っ張って歩かないこと

引っ張る子ども
よく見かける光景ではありますが……

お父さんお母さんが歩行量を増やすことに積極的なことはとても素晴らしいのですが、子どもと手をつなぎ、ひっぱるように歩く姿を時々見かけます。

この場合、お父さんお母さんがせっかちな人が多いです(笑)

そして実は、この“ひっぱるように歩くこと”が、子どもの足にとって良くありません。

親の歩くペースに、1,2歳の子どもを合わせてはいけないのです。

ひっぱられながら歩く子どもは、かかとを地面につけず、つま先だけで歩いているような状態になっています。
これがクセとして残ってしまうこともあるのです。

過去、足育先生のところに「ずっとかかとをつけず、つま先歩きをして、あちこち病院をまわってみても原因が分からない」と相談へきた親御さんがいました。

よく話を聞いてみると、原因は手をつないだ際に親御さんのペースで歩いてしまい、お子さんの手をひっぱって歩いてしまうとのこと。

ですので、足育先生オススメの靴を履いてもらい、足の緊張をとってあげ、子どものペースに合わせた歩行を取り入れてもらうようにしたのです。

すると足の緊張が次第にほぐれ、その子はちゃんとかかとから降りて歩くことができるようになり、親御さんもお子さんもとても喜んでいました。

つま先歩きの癖がついてしまっている子どもは、中学生くらいでも見かけることがありますので、大人の足の長さと子どもの足の長さの違いを理解して、ゆっくり歩くようにしてあげましょう。

その3 ハイハイをたくさんさせてあげること

これは、子どもが歩くより前の話ですが、赤ちゃんに早く歩かせたくて、ハイハイの期間がとても短く、つかまり立ち・歩行を早くさせてしまうこともNG。

ハイハイの重要性赤ちゃんの早すぎる歩行はNG! ハイハイの重要性について

確かによちよち歩く姿はかわいく、また、他の子より早く歩けるようになって欲しいという気持ちもわからなくはありません。

ですがハイハイは全身を使った運動で、赤ちゃんにとっては歩くための大事な練習期間です。

ハイハイは、体幹の中でもとくに背筋が鍛えられるので、このハイハイの期間にこの部位をしっかりと鍛えておくと、立ち上がった時にバランスがとりやすくなり、成長してからの良い歩行・良い姿勢獲得につながります。

もちろん、ハイハイの期間が短くても問題なく歩行ができる子どももいますが、足の筋肉がまだしっかりできていないうちに歩き始めてしまうと、かかとの骨が歪んでしまう可能性があります。

ですので、足育先生はハイハイの期間を十分にとって、全身の筋肉を鍛えてあげて欲しいと思っています。

焦って歩かせなくて大丈夫です。

平均して1才2ヶ月〜1才半くらいで歩き始めることができれば良い足作りにつながるでしょう。

歩かなくなった子どもたちに起こった変化を目の当たりにして……

親子で歩こう
親子で歩きましょう

コロナの流行や猛暑、その前には東日本大震災による放射線の問題などで、現代の子どもは特に外に出られなくなってしまうことが増えてしまいました。

ですがこうした歩行量の減少の影響は、足の成長に大きく出ていると感じています。

自粛生活をおくり、外遊びが思うようにできなかった子どもたちは、歩行量がぐんと減り、そのため、土踏まずが減ったり無くなってしまったりしています。

本来、土踏まずができると、後脛骨筋(こうけいこつきん)とよばれる土踏まずの頂点の筋肉により、上へと引きあげられますので、実際の成長分だけがプラスされます。

子どもの足の成長は、3歳以降は1年で約1センチ伸びます。

そのうち、3〜9月の半年に2/3(約0.6センチ)伸び、9〜3月に(約0.4センチ)伸びます。

これが先ほど言った“実際の成長分”なのですが、できていた土踏まずが減ったり無くなったりした場合、上がっていた土踏まずが下へ落ち、「成長分」プラス「下がった土踏まずの長さ」になるので、半年ごとの計測で1センチ以上足の縦の長さが伸びているという現象が起きているのです。

通常であれば半年で1センチ以上の成長は滅多に起きないことなのですが、コロナ禍で外出自粛が促され、半年ごとの計測で1センチオーバーの子どもがたくさん発生してしまったと、多くの子どもたちを見ていて痛感させられました。

全国的に子どもたちの土踏まずが減ってしまったということは、全国的に足の弱い子どもが増えてしまったと言い換えられるでしょう。

子どもたちの未来は3歳〜6歳の3年間で良い足の成長ができるがどうかにより、大きく左右されると言っても過言ではありません。

足育先生が定期的にみている子どもたちの足は、足に合った靴を履き、歩行量を増やすことによって、確実に強い足に成長しています。

さらに、土踏まずの形成ができていなかったり、かかとの骨が曲がった外反扁平足ぎみの子など、足に悩みがある子どもたちも、インソールをいれてたくさん歩くようにすることで、改善がみられています。

これからは、親御さんが先導して、子どもたちと『歩く』ということに取り組み、子どもたちの将来のために、強い足を作っていくお手伝いをできればと、私たちは思っています。

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