『足育』という言葉が知られてきた昨今ですが、未だに多くの人たちが「軽い・脱ぎ履きが楽・長く履けるよう大きめの靴」を選ぶ傾向にあります。
ですが、これは絶対にNG。
『軽い靴』は柔らかく、へたりやすいため不安定な子どもの足を支えることは難しいし、正しい姿勢をでいることが難しい。
また、『脱ぎ履きしやすい靴』は、履き口が広く足の甲の部分がブカブカしているため、靴の中で足が動き、体が揺れ、正しい筋肉などの発達を促せません。
そして、『大きめの靴』を履くということは、靴の中で足が動き靴の壁に足の指がぶつかり、足の変形につながります。
足に合わない靴を履くということは、全てにおいて良いことなし!!
なのでしっかり『足育に良い靴』を選ぶ基準を身につけておきましょう。
目次
人の足には左右それぞれ26個の骨があります。
そして、全ての骨の一番下にかかとの骨があり、体重をしっかりと支える役割があります。
かかとへの加重は、歩行時に体重の約1.3倍、走行時は約2.8倍と言われます。
例えば6歳の男の子の平均体重と言われている、21キロを考えると、歩行時に27.3キロ。
走行時に58.8キロの加重が、か細い子どものかかとにかかっているということなのです。
体重参考:文科省・学校保健統計(2)体重―5歳から17歳の平均体重、肥満・やせ(痩身)の傾向
これだけの体重がかかっていることを考えると、カカトの骨は動いたり飛んだり、歩いたりするときにとても大切な骨だということがわかります。
ここで、靴の命と呼ばれるカウンターに着目してみましょう。
みなさん、足を踏み出す時、かかとから地面に着地しますよね?
かかとから着地したとき、靴にしっかりとしたカウンターがあれば、かかとの骨をしっかりと支えてくれ、全くブレずに蹴り出すことができます。
しかし、靴にカウンターが無い、柔らかな靴の場合はどうでしょうか。
カウンターという、かかとの支えがないまま着地したとき、かかとの骨はグラッと揺れ、足全体が揺れながらの歩行になってしまいうでしょう。
日本人に好まれる柔らかい素材の靴や、お手頃な値段の靴には、カウンターが無いものが多く、知らず知らずのうちに、足に大きな負担をかけて歩いています。
カウンターがしっかりしているかどうかは、靴選びの中でも1位2位を争う大切なポイントです!!
①でカカト部分は固くしっかりしている物の方がよいとしましたが、そこで気になるのが「靴が固いと靴ずれにならないだろうか」ということ。
実は、それが第②のポイントに繋がります。
靴のかかと幅と履き口が同じだと、せっかくホールドしたかかとが、今度は上下に揺れてしまいますよね?
なので、履き口は足首にぴったりくるくらい『狭い』方がいいのです。
そうすることによって、靴ずれすることもなくなりますし、かかとがしっかりと固いカウンターの中にホールドされるようになるのです。
日本の靴は残念なことに、靴を脱いだり履いたりすることの多い環境なので、脱ぎ履きしやすいよう履き口の部分が広めの物が多いのですが、靴のまま家に入るような環境の、海外の子ども向けの靴は、三角形に近いくらい履き口が狭い物が多いのです。
では、履き口と足首、どれくらい狭いほうが良いのかというと、お子さんが足を入れた状態で、お母さんが指を入れようとして……入らないくらいが理想。
カウンターというのは車のシートの背もたれのような役目を果たしています。
例えば、背もたれがない車に乗ったと想像すると、移動時間が長いほど、どんどん疲れてしまいそうですが、固めで体にぴったりとフィットする背もたれがあれば、長い時間の移動でも疲れにくくなりますよね?
それと同じ原理で、ぴったりかつ、支えとなるかかとが固い靴が良いのです。
子どもは筋肉・骨格がまだまだ発達途中なので足を支えることが大切です。
ですので、固いカウンターで揺らぎやすいカカトや足首を支えるのが理想なのですが、カウンターだけではなく靴底全体でしっかりとした固さを出しておけるのも大切。
右に、左にねじれた状態で走ったり、蹴り出したりしないよう、子どもの足を考えた靴は「シャンク」と呼ばれる芯が靴底の中心部分に入っています。
意外と安価な靴にはこの「シャンク」が入っていないことが多いため、靴を買う時はよく見て、そして展示品を実際に手に取って、ねじれないかどうかを確認して買うようにしましょう。
「ねじれないほどの固さが大切」ということはお伝えしましたが、だからと言って大人の男性が履く革靴のように、かかとからつま先まで、一枚の固い合成材で覆われているようなものはNG。
かかとから着地した後、つま先から蹴り出せるように、ちゃんとつま先部分(蹴り出し位置)で前に折れるよう、そこは柔らかくなっている靴を選ぶと、より子どもの足育に良いでしょう。
ちなみに、シャンクが入っていない靴だと、蹴り出した際に、靴の中心部分などの本来なら曲がって欲しくない部分でくにゃりと曲がり、つま先以外の部分で蹴り出してしまうこともあるため、アウトソールの素材や構造をしっかり見ることをお勧めします。
こちらは『扁平足の改善方法と予防法について』という記事で細かくお伝えさせていただいてます。
扁平足の改善方法と予防法について是非ご覧になって、「うちの子ちょっと扁平足気味かも……」と思ったら、土踏まずを支える効果が高い靴、インソールを利用するようにしましょう。
子どもの靴の場合、学校の上履きのように脱ぎ履きしやすい、紐もマジックテープもついていないものを選ぶ親御さんがいます。
確かに脱ぎ履きはしやすいのですが、これはNG。
だったら、「紐で締められる靴」はどうなのかというと、確かにスポーツシューズなどは大半が紐で、スポーツ選手などが試合前、競争前にしっかりと靴ひもを締めているシーンがテレビで流れていることがあります。
ですが、この「靴の紐をしっかり引っ張り、絞めて、結ぶ」ということを、3歳、4歳、5歳、もしくは小学校低学年のお子様が確実にできますでしょうか?
ちょっと難しいですよね。
それを考えると「マジックテープで締めるタイプの靴」が、小さく非力な子どもでもやりやすく、覚えやすいため、子どもの靴は「マジックテープ」で締める物のほうがおすすめなのです。
もちろん、小学校高学年以上になったら、紐で締める靴がおすすめです。
スポーツ選手もボルタリングなど特別靴が必要でない競技は、ほとんど紐靴ですよね
因みにですが、子どもの靴についているマジックの本数の理想は2本!!
ダブルマジックと言い、ちょうど足の甲のところと、その先を止めてくれる形が理想です。
1本だと、足の甲の部分は止められるものの、その先の部分がないため、固定力には劣ってしまいます。
それが2本にすることで、足にしっかりと靴をフィットさせることができるのです。
また、もっと理想を言わせてもらうと、マジックの調整部分にリングが付いているものがベスト。
このようにリングで調整できると、マジックを子どもが上に引っ張るだけで靴の履き口をギュッと絞めることができ、しっかりと靴をフィットさせられるのです。
もちろん、1本しかない場合はマジック一本でも構いませんが、できればマジックは2本。
そして、マジックをリングで調整できるような靴を選ぶようにしましょう。
自分の足に合う靴を見つけたら、買い換えの時期までは、その靴を長く綺麗に履きたいですよね?
毎日同じ靴を履き続けると、汚れも目立つようになりますし、靴の湿気も取りきれず傷みやすくなってしまうでしょう。
では、靴を良い状態で長持ちさせるにはどうしたら良いのかというと、一般的には“靴は2足購入し、交互に履く”ことが推奨されています。
ですが、足育先生がオススメしているヨーロッパメーカーの靴は、日本のメーカーで2足用意するより、少々値段が張ります。
では、無理をしてでもそういった高めの靴を2足買わないといけないのかというと……そんなことはなく、【1足目は自分の足に合った足育靴】【2足目は手頃な値段で購入できる足に合う靴】を揃えることでも十分対応できると考えています。
主に1足目を足育の為に履いて、そして、その足育靴を洗ったり休ませたりする数日間は、手頃な値段で揃えられる足に合う靴を履きましょう。
数日の足育靴のお休みには抵抗があるかもしれませんが、人生という長いスパンでみてみれば、十分に足育の効果はあります。
靴選びは人生選び。
無理をせずに、足に良い環境を与え続けて行くことが、良い足作りにつながるのです。
“継続は力なり”といいますが、足育にも同じ事が言えます。
足の状態が気になった一瞬だけ、足に合う靴を履いてもなんの意味もないのです。
足育に良い靴の6つのポイントに気をつけて、それを継続して吐き続けていくようにしましょう!!
- かかとを支える為の靴のカウンター部分が固いもの
- かかと部分に隙間がなくフィットするもの
- 靴が“ねじれにくい”固さがあるもの
- 内股気味や、扁平足気味のお子さんには、土踏まずを支える効果が高いもの
- 蹴り出す部分で靴底が曲げられるようになっていること
- ダブルマジックでしっかりと固定できるもの
動画でも足育にオススメの靴の6つのポイントについてお伝えしています。
ぜひご覧ください!!
子どもの成長・発達には、土台となる『足』の正しい成長『足育』が欠かせません。
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