赤ちゃんの早すぎる歩行はNG! ハイハイの重要性について

ハイハイの重要性

赤ちゃんにとって、足育のスタート地点とも言えるハイハイの期間。

しかし現代は、このハイハイの期間が短くなり、つかまり立ちが早い赤ちゃんが増えています。

足育的には、ハイハイの期間が短すぎることは足育のスタートとしてはあまり良くないと考えています。

今回はその理由をお話させていただきます。

赤ちゃんの運動機能の成長

成長
産まれてからすぐに立てるようになるのは野生動物(特に草食動物)などですね。

生まれたばかりの赤ちゃんは、歩くことはもちろん、自らの力で座ることもできません。

生後3ヶ月程になると、首が座ってきます。
そこから、腹ばいの姿勢になると、前に手をついて首を自分で持ち上げたりできるようになり、腰が座り、一人で座れるようになったり、ハイハイできるようになったりと、赤ちゃんの運動機能はどんどん成長し、1歳半をすぎる頃には、一人で歩けるようになります。

般的に紹介されている赤ちゃんの運動機能の成長の目安
  • 首のすわり:3〜4ヶ月
  • 寝返り:5〜6ヶ月
  • 座位(セット座位):6〜8ヶ月
  • ずり這い:6〜8ヶ月
  • 四つ這い(ハイハイ):7〜10ヶ月
  • つかまり立ち:10〜12ヶ月
  • 歩行:10〜16ヶ月

ここで注目したいポイントが、『歩行』の期間。

10〜16ヶ月と目安の期間が幅広くとられていますが、足育的には、この目安の期間の前期10ヶ月頃よりも、後期の16ヶ月頃までに歩く方が良いと考えます。

なぜかと言いうと、歩き始めが早すぎる場合、足の筋肉がまだしっかりと出来上がっていない可能性が高いのです。

足がしっかりと出来上がる前に歩いてしまうと、かかとの骨が歪んでしまう恐れがあるのです。

かかとの骨がゆがんでしまうと……。

早くつかまり立ちを覚えてしまう弊害

早く歩けるようになるのは良いことだと思ってしまいそうですが、6〜7ヶ月くらいで、足がしっかりと出来上がる前に「つかまり立ち」ということを覚えてしまうと、場合によっては扁平足の強い『外反扁平足』という、かかとの骨が外を向いてしまう状態になる可能性があります。

逆に、1歳半を過ぎて歩き出すというケースもあるのですが、その場合も体が大きい割に足が出来上がっていないため、同じくかかとの骨が外に向いてしまう事も多くあります。

こうした「早すぎ」「遅すぎ」といった事を防ぐ為にも、赤ちゃんにはたくさんハイハイできる場所を提供できるのが理想なのです。

また、高這いといって、ハイハイの進化形(笑)として、両手と膝ではなく両方の足をついて、四足歩行で進む成長過があります。

ですが、そこを経由させずにつかまり立ちをさせてしまうのも、せっかくの順序だった成長過程を阻害しているようなものですので、できれば、つかまり立ちをし出したら降ろしてあげて、自分の力で立てるまで見守って上げるのがベストでしょう。

早すぎるハイハイが増えている問題は『家』にあり?

和室
昔の家はがらんとしていて広かったですね。

近年、赤ちゃんのハイハイ期間が短くなり、つかまり立ちをするのが早くなってきたと言われています。

その理由は……家が狭くなったから。

日本人の多くが理解しているとおり、少子高齢化で、どんどん核家族化が進んでいます。

昔は広い家に3世代4世代の家族が住んでいて、おじいちゃんおばあちゃんは離れに住みつつも、いざという時は一家総出でご飯が食べられるくらいのお座敷があったりと、家全体が広々していました。

また、都市部だったとしても、例えば狭い長屋住まいの住人は逆に物を置くことのできない生活をしていたため、あるものは物入れと布団、昭和の時代になるとそこに精々ちゃぶ台が増える程度でした。

そのため部屋の空間自体はとても広く、「つかまり立ちができるような物」が少なかったため、ハイハイする期間が必然的に長くなっていたのです。

ですので、しっかりと関節の動きや立ち上がるために必要なバランス、筋力が備わってくるまでは「立ち上がる」という行為に自然と移行しなかったのです。

ハイハイのためにも家の中は片付けましょう

綺麗な部屋
極力物を減らしておくのもよし

とはいえ、ハイハイの為に広い家に引っ越す……のは無理な昨今の日本の経済事情。

そういった場合は、1部屋を赤ちゃんのハイハイ所としてキレイに片付けて、例えば椅子とテーブルのみにしたり、ベビーベッドのみにしてみたりと、ともかく空間を作るようにしてみてはいかがでしょうか?

物が無ければ掃除もしやすく、赤ちゃんがハイハイしても安心していられるので、親御さんの精神衛生にもよいかもしれません。

因みに、歩行器は現代では「1人で歩くのに必要な骨格や筋肉、バランス力の発達が妨げられる」「床や畳が傷つく」「ブレーキがかけられるわけではないので転倒などの事故がある」などと、ちょっとデメリットがあり足育的にはNGとしています。

早く立ち上がってしまっても、歩くのが遅くなってしまっても心配な赤ちゃんの歩行ですが、ハイハイは歩くための練習期間ですので、しっかりと見守ってあげるのがベスト。

ハイハイは歩くための練習期間

ハイハイ
見守るのも大切な育児です

お父さんお母さん、赤ちゃんと一緒にハイハイしてみましょう!

実際やってみるとわかるのですが、ハイハイは全身を使った運動です。

首や肩の筋肉、背筋、腹筋、手指の筋肉をたくさん使うため、意外と疲れませんか?

ハイハイは、体感の中でも特に背筋が鍛えられるので、このハイハイの期間にこの部位をしっかりと鍛えておくと、立ち上がったときにバランスが取りやすくなります。

また、骨盤や股関節の動きもこの時期に学び、正しい歩行に向けて体が出来上がっていくのです。

つまり、ハイハイは、『成長してからの良い歩行、良い姿勢、そしてバランス感覚を養う大切な期間』。

しっかりとハイハイで全身を鍛え、理想としては1歳半までに歩行。

もちろん、ハイハイの期間が短くても問題なく歩行ができるようになる子どももいますので、平均して1才2ヶ月以降くらいで歩き始めることができれば、良い足づくりのスタートと言えるかと思います。

足育のスタートは0才から始まります。

しかし、『赤ちゃんを元気に育てる』ことが一番ですので、あまり神経質にはならず、ゆったりとした気持ちで成長を見守ってください。

そして、赤ちゃんの歩行で気になることがあったら、一人で悩まずに、足育先生に相談してくださいね。

  • 1日でも早く歩けるようになったからといって、それが良いわけではないので、まずは好きなだけハイハイを。
  • つかまり立ちをしてしまうと歩行へ移行するのも早くなってしまうので、歩行に十分なバランス力・筋力がつくまでは、できる限り広い部屋でつかまり立ちをあまりさせないようにしましょう。
  • 歩行までの理想はハイハイを沢山して、1歳半までに歩けば理想的です。平均して1歳2ヶ月以降くらいで歩き出す子どもの歩き方は良いですね。

こうしたことを頭に入れて、お世話をしてあげると、その子の将来の足育にとってよいスタートが切れるのではないかと思います!!